続き
無事手術を終え、止血の綿球を定期的に交換する。
右の鼻はだいぶ、止まってきた。
しかし、左の鼻の出血が比較的多い。
5月28日夕刻16時頃か
仕事からあがってきた妻が、様子を見つつ、今日は大丈夫そうだね、と帰ろうとしたが、ちょうど先生が「出血の多い左の鼻を診察室で診てみましょう」となったので、「じゃ、それが終わったら帰るよ」となった。
ここからが、試練だった。
◆一回目の止血
出血が多いですね。ガーゼ詰め替えます。
先生の言葉とともに、どんどん引っこ抜かれるガーゼ。
こんなに入ってたんだ。と思うや、出血がドバっと。
「止血します。痛いの我慢して下さい」と、
いっきに、苦い薬に浸したガーゼを一本、二本、三本、、、と、7-8本挿入する。
抜く時は、これがまた一本ずつなので、一回のトライで14-16回、鼻腔内をガーゼがズリズリ。
これが、言葉にならない激痛。痛みに喘ぎながら、時々、深呼吸しつつ、
目から鼻から口から、涙や血やよだれや溢れた薬品がドバドバと流れ落ちる。
10分程度の止血後、別の薬品を浸したガーゼに置き換えるために
地獄の抜き差しをもう一往復。
よし、これでOKでしょう、と先生。
しかし、ガーゼから大量の血がまた染み出してくる。
「診察室うつって、内視鏡でやりましょう」
ここで、妻を家に返した。子供たちのことを見てもらわねばならない。
◆二回目の止血
気がついたらもう17時が過ぎ、外来は静まり返っていた。
その中を車椅子で送られ、診察室へ。
こういうのって、本当は手術室でやるんじゃないのか、とも
思いつつ
「焼いて、しっかり塞いじゃいます」
おいおい、今まではしっかりじゃなかったのか、とツッコミを抑えつつ
焼いてもらうのだが、これが非常に痛い。
「あともうちょっとですから」と言われるが、
もうちょっとの終わりが全然見えない。
粘膜のところは、まだ、ジュワッと焼けるだけなのだが、
ちょうど、鼻の骨にあたる横の粘膜の出血を焼く際には、骨を通じて
歯、頭蓋骨全体にビリビリ響く。
おいおい、まじか?と。みんなコンナ痛いものなのか、先生が下手くそなのか、
どっちだ?と疑い深くなる。いずれにしても、事実、先生も焦っているようで
何度も「拭いて」と助手の方に言っていた。
まあ、これもあとになれば笑い話なんだろうが、この間、何度も「ガーゼ足りません」「救急からもらってきて」「薬品足りません」「ここから小分けして」「ティッシュペーパー切れました」「隣りにある」「部品が」「その後ろの缶!」と、助手の人々が耳鼻科の現場の地理を把握して無くて、素人が切り盛りする野戦病院のごとく、ドタバタジタバタ。
不安になりながら、激痛に耐えながら、「なんで、コンナつらい思いをするんだろう」と
訝しげに思いながら、2回目の止血を終えた。
が。